Abstract
近年,ビデオ会議ツールを用いて遠隔地からプレゼンテーションを行う機会が増えている.しかし,オンラ
イン授業においては,対面で行う場合と比べて聴者側の集中力が下がりやすくなり,発表に対する理解度の低
下につながってしまう.そこで,遠隔地にいる代理人が発表者の代理を行うためのシステムを提案する.提案
手法は,遠隔地にいる発表者による発表を,まるで現地にいる代理人が発表しているかのように聴者側に見せ
ることによって,聴者に対して対面のプレゼンテーションと同様の集中力を実現し,聴者側の理解度の低下を
防ぐ.本研究では,代理人が肉声を発していない状況において,代理人の挙動に聴者側が違和感を抱かないか,
代理人と異なる声を用いて発声した場合に,聴者側が違和感を抱かないかを実験によって検証した.また,2
重のマスクの間に小型スピーカを設置し,擬似的な肉声を再現した.この疑似肉声によるシステムの運用が可
能であるか,提案システムにおいて口元を隠す必要性があるかを検証した.実験にて,音声に録音したものを
用いた場合, 代理人が直接プレゼンテーションを行ったものよりもやや違和感があり, 集中度はやや低いが,理
解度には大して影響が出ていないことがわかった.また,音声に代理人と異なる声を用いても違和感や理解度
の差がほとんどなく, 代理人と操作者の声を聞き分けることができているため, 音声に代理人と異なる声を用い
ても理解度には影響がないことが示唆された.疑似肉声を用いた場合では,音声の質の低下による影響が大き
く,理解度,違和感の無さ,集中度のすべてに低下が見られた.よって,疑似肉声システムを提案手法に用い
るには改善が必要であることが考えられる.また,マスク無しの場合,有りと比べて理解度の低下はあまり見
られなかったが,違和感を抱きやすいことが分かった.これは,口元が動いていないにもかかわらず,音声が
聞こえてくることに対して,違和感を抱いたと考えられる.したがって,提案システムでは,マスクの着用が
必要であることが示唆された.
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Information
Book Title
神戸高専卒業論文集
Volume
2022
Number
Date
Pages
-
Citation
Copied!
守 新太郎, サロゲートプレゼンテーションにおける音声提示手法の検証, 神戸高専卒業論文集, 2022巻, 号,